薬剤師は化粧品メーカーでどんな仕事をするのか、くわしくまとめました。
化粧品メーカーへの転職に、調剤や服薬指導の経験が生かせるのか解説します。
転職に有利なスキルも紹介するので、薬剤師として化粧品メーカーで活躍したい人は必見の内容です。
目次
薬剤師は化粧品メーカーでどんな仕事をする?
薬剤師の化粧品メーカーにおける仕事は、以下の3つが代表的です。
- 研究開発
- 管理部門
- 薬事申請
薬剤師は化粧品メーカーで、資格を活かした仕事を担当する傾向です。
能力や経験次第ですが、入社後は他の部門で活躍できることも考えられるでしょう。
研究開発|新しい化粧品や有効成分の開発
化粧品メーカーの研究開発は、化粧品の開発に向けて取り組む仕事です。
新規有効成分を研究したり、新素材として高機能なものを成分から作ったり、新しい商品を開発するために努力を重ねます。
処方開発や臨床試験、製品検査など、化粧品の効果の発見と安全性の維持のために、専門知識が必要です。
研究開発には、薬の成分だけでなく薬事法など法律に関する知識も求められます。
皮膚科医とのプロジェクトで化粧品を開発する場合もあるため、生薬や細胞学などにくわしい薬剤師が重宝されるでしょう。
管理部門|商品が薬事法を違反していないか確認する
自社の製品が薬事法に違反していないか確認する仕事が、化粧品メーカーの品質管理です。
薬剤師は化粧品・医薬品の安全管理や、広告表現のチェックなどを担当することもあるでしょう。
仕事でトラブルが発生した場合も、柔軟に対応できる姿勢が求められます。
薬事法に関する深い知識が必要なため、薬剤師がスキルを発揮できる仕事です。
薬事申請|薬事申請の書類作成
薬事申請は新しく製造・輸入した医薬品を、厚生労働省に申請し販売や使用の許可をもらう仕事です。
薬事申請に必要な書類は、開発の理由や経緯、製品や品質のほか、試験のデータと試験方法を詳細に記入しなくてはいけません。
申請の文章を作り、申請書類のひな型更新も担当します。
開発チームや分析チームから詳しい情報の共有をもらい、大量のデータを分かりやすくまとめるスキルは必須です。
薬剤師が化粧品メーカーで働くときの給料と待遇
薬剤師が化粧品メーカーで働くと、どれくらいの給料がもらえるのでしょうか。
化粧品メーカーの仕事は薬局の調剤とは異なり、化粧品に対して専門的な知識が求められる業務です。
化粧品メーカーで薬剤師が働く場合の、給料と待遇をまとめました。
化粧品メーカーは高水準の給料が期待できる
薬剤師の年収は化粧品メーカーで働く場合、年収の目安として350万〜700万円が見込めます。
リーダーやマネージャーなど高いポジションになれば、さらに年収アップが目指せるでしょう。
開発職は専門性が高い仕事のため給料が高い傾向ですが、薬事管理の年収は調剤薬局勤務とほとんど変わらない可能性があります。
自分がどんな仕事をしたいかだけでなく、年収アップを視野に入れて転職を考えましょう。
大企業は福利厚生が手厚い
自社で化粧品を開発するレベルの大手企業に勤めると、手厚い福利厚生を受けられ、柔軟な働き方ができる場合があります。
フレックス勤務でカレンダー通りに休めるといった、働きやすい職場環境が考えられるでしょう。
化粧品メーカーは女性も多く勤めていることから、産休や育休の制度もしっかり決められていることが多いです。
ライフイベントに合わせた働き方や、充実したプライベートの実現が可能で、理想的なワークライフバランスが期待できます。
薬剤師が化粧品メーカーで働くメリット
薬剤師が化粧品メーカーで働くメリットは、専門知識が活かせるほかにどのようなものがあるのでしょうか。
化粧品メーカーで働く薬剤師が感じやすい長所をまとめました。
薬事の知識が開発に生かせる
薬剤師の視点を活かして商品開発できることは、化粧品メーカーに勤めるメリットです。
これまで学んだスキルや知識を、新商品のアイデアに落とし込むことで貢献できる、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
決められた開発スケジュールの中で成果を出すためには、仕事の配分を考えて時間を管理しなくてはなりません。
結果をチームで共有する協調性も求められ、大人数で何かを作るという貴重な仕事ができます。
女性が働きやすい環境で高収入が得られる
化粧品メーカーは、女性が正社員として働いている職場が多い傾向です。
すでに女性社員が多数を占める仕事環境は、性別に関係なく手厚い福利厚生が望めます。
結婚や出産などでライフスタイルに変化があっても、働きやすいことが考えられるでしょう。
専門職ということもあり、調剤薬局やドラッグストアに比べると高い収入が得られることもメリットです。
開発した商品が多くの人に使ってもらえる
自分の技術や努力が詰まった商品が社会に出回り、消費者に使ってもらえることは商品開発のやりがいです。
新しい化粧品を生み出すことで、開発の過程で知識や技術が吸収できることも仕事の魅力でしょう。
仕事は研究から製品化までと幅広いため、業務を通して学べる高いスキルや、応用的な技術が多岐に渡ります。
自分が作った商品を店で見かけたり、化粧品の感想をもらったりすることは、薬剤師が化粧品メーカーに勤めるメリットです。
コスメやメイクの流行にくわしくなれる
コスメやメイクの流行りに詳しくなれることは、化粧品メーカーに勤める長所です。
化粧品を販売するためには、ターゲットを絞って商品を作らなくてはなりません。
今年はどんな色が流行するか、開発する化粧品はどんな世代に売り込みたいか、年代やファッションの系統などをもとに分析する能力が鍛えられるでしょう。
ほかにも、医療機関やドラッグストアでは、濃いめのメイクや華美な服装は就業規則で禁止されていることがあります。
化粧品メーカーでは、ある程度自由にメイクや服装、ネイルが楽しめるため、ファッションの知識を自社の商品開発につなげることが可能です。
薬剤師が化粧品メーカーで働く注意点
薬剤師が化粧品メーカーで働く際の注意点やデメリットは、求人に関することや仕事内容に関することがあります。
転職後に後悔しないためにも、化粧品メーカーの仕事に就くときのポイントを確認しましょう。
求人数が少なく採用人数が限られる
化粧品メーカーは求人数が少なく採用人数が限られており、転職の場合は新卒入社と比べるとハードルが上がります。
薬剤師としての基礎的なスキルに加えて、肌質改善やアロマなど薬剤・薬事以外の知識が求められることもあるでしょう。
薬剤師として薬学や栄養の知識があっても、それだけでは化粧品メーカーへの転職成功は難しいと考えられます。
薬剤師として臨床の現場に復帰しにくい
化粧品メーカーで勤務すると医療現場と比べて医学の知識が深まらず、臨床の現場への復帰が難しい傾向です。
化粧品メーカー就職後に、医学の分野で活躍したいと考える薬剤師は、最新の医療知識や薬事についての勉強が必須でしょう。
薬剤師の知識や調剤の経験を生かしにくい
薬剤師の知識や調剤の経験は、化粧品メーカーでは活かしにくいスキルです。
化粧品メーカーの中途採用には薬剤師として基本的なスキルがあるだけではなく、プラスになる技術や知識が求められます。
ただし、医師と商品共同開発に取り組む機会も考えられるので、薬事法に詳しい薬剤師は有利でしょう。
高い専門性や流行への理解が求められる
肌や髪・爪などに対する高い専門性のほか、流行っているものへの理解は化粧品の開発に必須です。
どんな人をターゲットに商品を開発するか、どのような広告を出すか、分析するために多方向にアンテナを張りましょう。
商品メーカーでは色彩感覚やデザイン性を求められる仕事があるため、知識は独自で勉強する必要があります。
若年層に流行っているものを調べるためには、雑誌やテレビだけでなくSNSやyoutubeのチェックも必須です。
高いコミュニケーション能力が求められる
化粧品メーカーでは各部門のチームごとに集まり、プロジェクト単位で行う仕事もあります。
薬剤師も協調性やマネジメント能力が求められるでしょう。
大企業で化粧品開発をする場合は、貢献できるスキルのほかに、チームの和を乱さないコミュニケーション能力が必須です。
少人数の企業で働いている薬剤師は、社員数が多い職場でも活躍できるよう、さらに協調性を鍛えてください。
薬剤師が化粧品メーカーで生かせる資格
薬剤師が化粧品メーカーで活かせる資格をまとめました。
化粧品への理解を深めたい人にも、おすすめの検定です。
日本化粧品検定
日本化粧品検定は、文部科学省後援として許可された化粧品・美容の検定です。
日本化粧品検定協会による民間試験ですが、化粧品の基礎知識や美容皮膚科学について詳しく学べます。
1級、2級、3級と分かれており、3級はオンライン受験ですぐに結果が分かる無料の試験です。
1級、2級は美容や薬事法について勉強できるので、まずは化粧品の基礎知識を学びたいという人におすすめです。
スキンケアアドバイザー
スキンケアアドバイザーは日本スキンケア協会による、民間資格です。
肌トラブルやエイジングケアに悩む人など、一人ひとりに適している化粧選びやスキンケアの正しい知識が学べます。
肌や化粧品などに関する正しい専門知識を持つことで、肌質に合わせたケアの提案が可能です。
美容業界で活躍するためには、薬剤師に限らず持っておきたい資格です。
薬剤師が化粧品メーカーで働くならエージェントの利用がおすすめ
薬剤師が化粧品メーカーで働く場合は、エージェントを活用しましょう。
転職活動の前段階として、薬剤師は化粧品メーカーの募集求人を探すことに、意外と時間を使ってしまう可能性があります。
求人を見つけたあとは、スキルは十分か、求める条件に近い仕事ができるかなど、自分と企業のマッチング率をチェックしなくてはなりません。
転職の準備に時間がかかってしまうことを考えると、エージェントの活用がおすすめです。
ファーマキャリア
ファーマキャリアは薬剤師専門の転職サイトです。
希望条件を伝えた後は、担当のキャリアエージェントが求人をオーダーメイドで作成してくれます。
自分の希望に近い形で仕事が見つけられるため、効率的に転職活動が進められます。
マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は、初めて転職をする人にもオススメできるエージェントです。
職種ごとに求人が検索できるため、化粧品メーカーでの仕事も見つけやすいでしょう。
自分の市場価値を確かめたい薬剤師は、キャリアアドバイザーと面談すると適切なアドバイスがもらえます。
薬剤師の化粧品メーカーへの転職はスキルが必須
薬剤師が化粧品メーカーに転職する場合は基礎的な知識に加えて、特化できるスキルが必須です。
転職はほかの応募者も、薬剤師として基礎的なスキルを備えていると考えましょう。
自分を雇うことで化粧品メーカーにどんなメリットがあるか、よく考えてPRにつなげてください。