薬剤師が個人事業主として働く方法には、どんなものがあるのでしょうか。
もっと自由に働きたい、たくさん報酬がほしいといった薬剤師は、フリーランスへの転身も視野に入れましょう。
薬剤師の働き方が多様化し、個人事業主として仕事を始める人も多い傾向です。
個人事業主として働く場合の薬剤師の仕事内容や、フリーランスになる方法をまとめました。
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目次
薬剤師が個人事業主として働く方法
薬剤師の個人事業主には、本業や副業などのスタイルで働いている人が多いです。
さまざまな観点から勤務形態を分けて、薬剤師の働き方を紹介します。
| 副業的 | 本業が別にあり、副収入としてフリーランスを営む薬剤師 比較的手軽にフリーランスとして仕事が可能 |
|---|---|
| 本業的 | 薬剤師として個人事業主を開設している場合が多い スキルがあれば週4日以上の仕事ができる |
| 目的派 | 目的があり、個人事業主の薬剤師として活躍している |
| ビジネス派 | 個人事業主のほかにビジネスを展開するため、フリーランスで稼いでいる薬剤師 |
薬剤師の個人事業主 副業的｜短時間勤務
副業的に働く個人事業主の薬剤師は、スキマ時間で勤務する人が多い傾向です。
正社員や派遣社員などの本業のほかに、アルバイトの延長として始めやすいでしょう。
雑所得20万円を超えなければ確定申告は必要ありませんので、収入の補填のために副業したい薬剤師におすすめです。
薬剤師の個人事業主 本業的｜週4日以上の勤務パターン
本業として週4日以上仕事をする個人事業主の薬剤師です。
勤務できる案件がないと失業するため、仕事自体に生活がかかっています。
都心だけでなく地方の薬局なども対応できるため高収入が期待できますが、確定申告や仕事の事務処理などの負担があります。
薬剤師の個人事業主 目的派｜目標を立ててフリーランスをしている
何か目的を立てて個人事業主をしている薬剤師です。
資格がほしい、留学したい、子育てしながら仕事がしたい、というように明確な目的があります。
本業が副業かといった区別ではなく、希望する勤務条件や収入アップを目指して仕事をしています。
薬剤師の個人事業主 ビジネス派｜事業の展開を目指している
個人事業主をしながらビジネスや薬局の開業を目指している薬剤師です。
個人事業で得た資金を、別の仕事に投資できます。
今後の展開を長い目で視通すビジネススタイルが必須で、投資先はFP事務所の設立や人材派遣業などの開業など多岐に渡ります。
兼業しながら、薬剤師としてさらなる展開を望む人が多いでしょう。
薬剤師が個人事業主として働く基礎知識
薬剤師が個人事業主として働くための、基礎的な知識を紹介します。
簡単に説明すると、雇用契約を結ばずに業務委託契約で収入を得ている薬剤師です。
薬剤師が業務委託契約で働くことについて、くわしくまとめました。
雇用契約外・労働基準法適応外の働き方
個人事業主は雇用保険がない働き方で、有給休暇や残業や深夜手当36協定も関係なく、労働基準法適用外です。
雇用契約は正社員やパート、派遣として勤務する薬剤師が結ぶ契約で、労働基準法により保証されており、仕事に安定性があります。
一方で個人事業主は労働基準法による規制がなく、業務委託契約(準委任契約)で仕事をします。
フリーランス薬剤師として働いている実態が重要
雇用契約と業務委託契約の判断は、働いている実態で行われます。
業務委託契約を結べば、当事者同士の交渉で条件は自由に変更可能です。
業務内容や勤務時間、報酬など、柔軟に選択できることは、薬剤師が個人事業主になるメリットです。
薬剤師の個人事業主に求められるスキル
薬剤師として個人事業主になるためには、準備したいスキルは多岐に渡ります。
技術の中には時間がかかるものがあるため、長期的な視点で個人事業主への転身を考えましょう。
3年以上の調剤経験
調剤年数として3年以上の経験があれば、個人事業主として基礎的なスキルが備えられるでしょう。
調剤、監査、服薬指導、薬歴記入のほか、診療報酬明細書を作るためのレセコンの入力や医薬品の検品を任されることがあります。
調剤経験の他に認定薬剤師の資格があれば、高いスキルが証明できて報酬アップにつなげられるでしょう。
個人事業主になる前に派遣薬剤師として働こう
派遣薬剤師の経験があると、薬局で短期間だけ働くことに抵抗がなくなります。
派遣は社員がしない仕事を率先して行い、契約満期を快く受け入れなくてはなりません。
個人事業主は短期間での勤務や、本来は派遣が行う仕事内容をすべて理解する必要があります。
仕事やコミュニケーションにも自信がつくため、薬剤師は個人事業主を目指す前に派遣として働くことをおすすめします。
営業にかかわる交渉力
薬剤師が個人事業主として活躍するためには、通常の業務では触れることがない能力が必須です。
電話営業や商談、条件交渉など、取引先とのやり取りは交渉力が求められるでしょう。
需要と供給や、薬剤師の相場を把握する能力は、個人事業主になる前に勉強してください。
コミュニケーション能力
チームワークに関わるコミュニケーション能力は、薬剤師として備えておきたいスキルです。
薬局では患者の対応を限られた時間内で行うため、協調性が求められるでしょう。
個人事業主として契約後は現場の輪に自ら入っていけるように、職場になじむコミュニケーション能力を発揮してください。
自己アピールのスキル
薬剤師の仕事を進めるうえで自分の強みは何か把握し、どんな貢献ができるのか自己アピールをしましょう。
自己アピールが上手にできると、人事担当者からいい印象が持たれる可能性がアップします。
個人事業主として仕事を請け負うためには、自分に何が不足しているのか、ウィークポイントを掴むことも重要です。
経理請求にかかわる能力
薬剤師にかかわらず個人事業主には、経理や報酬の請求など事務作業が必要です。
確定申告を行う場合に不明点が出たら、相談するといった経理や請求に関わる能力は備えましょう。
契約書の締結には法律への理解も重要なため、個人事業主になる前によく勉強してください。
個人事業主の自責と成長しようという姿勢
個人事業主の薬剤師になりたい人には、自分の身は自分で守るという考えが必須です。
労働基準法に守られていないため、いきなり失業するといった可能性もゼロではありません。
案件が常に請け負えるとも限らないので、継続的な経営には成長するという姿勢が求められます。
薬剤師として高いスキルや資格があるだけでは、個人事業主として活躍することは難しいでしょう。
民事や保険のトラブル解決能力
個人事業主として働く薬剤師に賠償責任が起きた場合は、民事や保険で対応する必要があります。
あらゆる場面を想像して、事故や報酬トラブルにどんな解決方法があるか考える力が必須です。
個人事業主は福利厚生が薄いため、保障を補填するための能力も重要でしょう。
薬剤師が個人事業主になるメリット
薬剤師個人事業主になるメリットは、勤務形態や報酬の面で見られます。
どのようなメリットがあるのか詳しく確認しましょう。
勤務時間や副業など自由に仕事ができる
業務委託契約で働く個人事業主の薬剤師は、正社員やパートよりも比較的自由な勤務です。
契約交渉によっては副業も可能なので、薬剤師以外の仕事を掛け持ちできることもあります。
本業のほかに週1日だけ働く、午後のみ対応する、全国各地で活躍するため一か月ごとに勤務先を変える、など多様な働き方ができます。
薬剤師の仕事でもらえる報酬が高い
個人事業主の場合は派遣薬剤師よりも高い報酬が得られるでしょう。
高いスキルや交渉力があれば、年収1000万を稼ぐことも不可能ではありません。
ただし、案件をつなげる営業と努力が必須なので、個人事業主の薬剤師だからといって必ず高収入が得られるとは限りません。
薬剤師が個人事業主になるデメリット
フリーランスで働く上で、大きなハードルが考えられます。
ここからは、薬剤師が個人事業主になるデメリットを紹介します。
仕事が無いと収入が減る
個人事業主全般に言えることですが、収入が不安定なことが特徴です。
薬剤師として活躍できる能力があれば、高収入が期待できるでしょう。
しかし、個人事業主は高いスキルがあっても、仕事の契約がないと収入に結びつきません。
スキルの不足や契約した案件次第では、収入に対する悪影響が考えられます。
国民健康保険や国民年金保険などは自己負担
個人事業主は国民健康保険や国民年金などの加入が必須で、費用は全額自己負担です。
正社員は社会保険料の半分を会社が負担してくれますが、個人事業主にそういった補填はありません。
仕事がない場合も、国民健康保険料の納付が必須です。
確定申告は必須
薬剤師が個人事業主になると、自分で確定申告をする必要があります。
年間20万円の雑所得がある場合は、確定申告が必須です。
納税に関わる計算や事務処理を事前に行わなくてはならないので、税務に関する知識も備えましょう。
正社員は勤めている企業で年末調整を行って確定申告が完了しますが、個人事業主は自分で確定申告を行う手間があります。
社会的信用度が低い
個人事業主は雇用や収入が不安定という原因で、社会的信用度が低い傾向です。
物件の賃貸契約や銀行融資の審査が厳しくなる可能性があるので、個人事業主になる前に準備しましょう。
フリーランスと聞くと不安定な働き方というイメージがある人も多いため、強いメンタルが必要です。
薬剤師が個人事業主になる方法
薬剤師が個人事業主になるために、開業届への理解を深めましょう。
薬剤師が個人事業主になったあとも活躍を続ける手段として、フリーランスが集まるエリアで働く方法があります。
薬剤師で個人事業主は開業届の提出が有利
個人事業主として開業届を税務署に提出すると、確定申告で青色申告ができます。
青色申告は最大65万円の特別控除が受けられて、経営に有利です。
開業届は、管轄の税務署に提出しましょう。
開業日から1ヶ月以内の提出が基本ですが、手続きにかかる期間を考えて早めに提出することをおすすめします。
薬剤師の個人事業主が集まるエリアを狙おう
薬剤師の個人事業主として活躍したい場合は、フリーランスの働き方が浸透しているエリアを選びましょう。
薬剤師の数が少ない地方は、スポット勤務や業務委託契約の習慣がなく個人事業主は働きにくい可能性があります。
都心部の東京、大阪、福岡エリアは、個人事業主として働く薬剤師が多く、多様な働き方が可能です。
個人事業主として活躍したい薬剤師は、働く拠点も重視してください。
薬剤師の個人事業主の仕事探しはマッチングサイトが便利
薬剤師の個人事業主の仕事探しは、無料マッチングサイトが有利です。
希望する勤務地のほか、条件交渉や契約書の作成、報酬支払管理を行ってくれる企業も多くあります。
これまでは個人事業主の仕事探しは電話営業や直接営業が必要でしたが、案件のマッチングに便利なウェブサイトが増えました。
薬剤師で個人事業主に向いている人
薬剤師で個人事業主に向いている人は、以下の特徴があります。
- 自分で責任を持てる、薬剤師の事務業務以外をこなせる人
- 案件が途切れても、経済的に困らない人
- パート薬剤師や派遣薬剤師よりも収入を得たい人
- 薬剤師とは別に事業を展開している人
- 仕事にかかわる自己管理ができる人
個人事業主は正社員よりも不安定な働き方です。
確定申告のための経理や事務作業もあるため、パソコンスキルも重要です。
薬剤師個人事業主と派遣薬剤師を比較
個人事業主の薬剤師は、調剤薬局やクリニックなどと直接契約を結んで仕事を行います。
一方で派遣薬剤師は派遣会社が雇用のあっせんをし、派遣先で業務を行うスタイルです。
派遣薬剤師の雇用主は派遣会社となり、給料も派遣会社から受け取ります。
薬剤師個人事業主は派遣マージン分の給料を交渉できる
個人事業主の薬剤師は、派遣薬剤師と比べると報酬を高めに交渉できる可能性があります。
派遣会社に支払うぶんのマージンがないため、業務委託の契約の際に向上すれば時給単位で高い報酬の設定が可能でしょう。
ただし、条件のアップには交渉力が必須で、勤務先から求められる以上のスキルを発揮しなくてはなりません。
薬剤師が個人事業主になるにはある程度の経験が有利
薬剤師が個人事業主になるためには、ある程度の経験が有利です。
派遣社員として短期間で雑務を含めた仕事を経験した人は、個人事業主としても活躍できる可能性があります。
調剤業務が3年以上あれば、薬剤師として個人事業主になったあとも基礎的なスキルが示せるでしょう。
