薬剤師は難関の国家資格で、今までは資格を持っていれば薬剤師としての転職は問題なくできるとまで言われてきました。
しかし数年前から薬剤師の転職市場が厳しくなっているとの声も見られています。
これから薬剤師として転職先を探している皆さんとしては、なぜ厳しくなっているのか、転職活動で成功できる薬剤師になるにはどうしたらいいか気になりますよね。
そこで今回は薬剤師の転職市場が厳しいといわれる噂の真相から、厳しい転職市場を勝ち抜ける薬剤師の特徴を解説していきます。
目次
薬剤師の「転職がしやすい」時代は終わった?
薬剤師は国家資格の一つですから、資格を持っているだけで他の職種よりは転職活動が比較的楽だといわれてきました。
しかし残念ながら、薬剤師の転職は難しくなりつつあります。
つまり薬剤師が転職しやすい転職市場から、薬剤師の転職が難しい転職市場に代わり始めているのです。
理由は以下の3点です。
- 薬学部の6年制移行による薬剤師の増加
- ドラッグストアの調剤薬局設置による影響
- コロナ禍の受診率低下による調剤薬局の倒産
以下で詳しく解説していきます。
理由①薬学部の6年制移行による薬剤師の増加
薬剤師の資格を取得できる薬学部の在籍条件が6年に移行されたことによって、薬剤師が増加したことが転職が難しくなった1つの理由です。
以前は4年制の薬学部を卒業できた学生に対して、薬剤師国家試験の資格が付与されていました。
しかし学校教育法が改正されたことにより、薬剤師国家試験の受験要件が4年制卒業から6年制に変更になったのです。
法改正に伴って薬学部が増設されたことにより、薬剤師の母数が増大したのです。
しかし全国にある医療施設や調剤薬局が急激に増加することはありませんから、段々と薬剤師が余る状況に変化しているのです。
理由②ドラッグストアの調剤薬局設置による影響
近年ドラッグストア業界が店舗に調剤薬局を併設する動きが出ています。
下記は大手薬局の総店舗数と調剤併設店数です。
薬局名 | 調剤併設店数 | 総店舗数 |
---|---|---|
ウエルシア | 1447店舗 | 2049店舗 |
スギ薬局 | 1391店舗 | 1391店舗 |
調剤併設型の薬局が増加していることで、調剤薬局単体で運営している企業は段々と閉店に追い込まれている実情もあります。
薬剤師の働ける先が減少していることも、薬剤師の転職市場の難化につながっているとの予測もあるのです。
理由③コロナ禍の受診率低下による調剤薬局の倒産
新型コロナウイルスの流行により、医療機関の受診率が低下傾向に転じています。
ドラッグストアの拡大に加えて処方箋の受付回数が低下に転じ、病院併設型の調剤薬局などが倒産に追い込まれることで、雇用の減少にもつながっているのです。
また短い時間で働ける求人の減少により、非正規雇用の薬剤師の転職も難しくなっています。
正社員の求人も非正規雇用の求人も減少傾向に転じているので、転職先の不安がひろまるげんいんにもなっています。
厳しい転職市場を勝ち抜ける薬剤師とは
様々な要因が絡み転職市場が厳しくなった薬剤師業界ですが、そんな状況でも勝ち抜いて転職を成功できる薬剤師は一定数存在します。
厳しい転職市場を勝ち抜ける薬剤師には以下の特徴があります。
- 調剤経験がある
- 管理薬剤師などのマネジメント経験がある
- 長期雇用ができて「かかりつけ薬剤師」になれる
- 在宅医療にも対応できる
- 患者さんとのコミュニケーションを大切にできる
以下で詳しく解説していきます。
調剤経験がある
大前提として、薬剤師の資格を持っているだけではなく調剤経験があることが求められます。
大学を卒業して資格を取得した後に調剤を行わない企業に就職した後など、調剤未経験だと薬局側とのニーズが合わないこともあります。
また上述したとおり調剤薬局の減少に反してドラッグストアは、調剤薬局を併設している店舗数を増やす動きに転じています。
ドラッグストア側としては調剤経験豊富な人材を採用したほうが、企業的にも一番コスパが良いでしょう。
未経験の状態で転職する場合は、転職の難易度が高くなる傾向にあります。
管理薬剤師などのマネジメント経験がある
薬剤師の人数が増えているとはいえ、やはり現場ではマネジメントの出来る人材が求められます。
過去に管理薬剤師などで職場でマネジメントをした経験がある場合は、転職時に有利に進められる可能性があります。
様々な企業で薬剤師の育成を行っているものの、やはり現場を離れてしまう人材はいるもの。
即戦力で自社店舗のマネジメントに携われる人間は、薬剤師業界では市場価値が高いと判断されます。
長期雇用ができて「かかりつけ薬剤師」になれる
現在日本では高齢化社会が進んでおり、かかりつけ医ならぬかかりつけ薬剤師の需要も高まっています。
一人の患者さんに一人の薬剤師が継続して調剤を担当することが求められています。
かかりつけ薬剤師になるには、ひとつの調剤薬局で長期間働くことが一番の近道です。
自分の市場価値を高めたい方は、面接の際にかかりつけ薬剤師になりたい旨を伝えることで、企業からのニーズのある人材をアピール出来るようになります。
在宅医療にも対応できる
高齢化社会が進むにつれて、在宅医療を選択する患者さんも増加傾向にあります。
在宅医療をするには薬を届けられる薬剤師が必須ですから、重宝される傾向にあります。
特に車を持っていると、遠くの患者さんのところまで訪問できるので、一種のアピール材料になります。
在宅医療に対応したい旨を伝えることで、自分の市場価値を高められる可能性もあります。
患者さんとのコミュニケーションを大切にできる
薬局は地域の患者さんに支えられているため、患者さんと積極的にコミュニケーションの取れる人材であることが求められます。
コミュニケーションがきちんととれる人材でなければ、患者さんからの信頼も得られません。
過去に患者さんと同交流してきたか、人間関係をどう築いてきたかを考えることで、コミュニケーション能力をアピールしてみましょう。
薬剤師が厳しい転職市場を勝ち抜くポイント
薬剤師が厳しい転職市場を勝ち抜くためには、下記のポイントも把握しておいて損はありません。
- 面接対策を徹底して行う
- 薬剤師の資格を生かした異業種の転職先を見つける
- 薬剤師専門の転職エージェントを活用する
以下で詳しく解説していきます。
面接対策を徹底して行う
薬剤師の転職活動でも例外なく、採用担当者との面接があります。
どんな内容を話したらいいか、自分の魅力をアピールしてどうやって企業に「ほしい!」と思ってもらえる人材になるかが重要になります。
良い経験やスキルを持っていても、相手に伝わらなければ意味がありません。
相手に伝わりやすい構成を心がけて、面接対策を丁寧にすすめていきましょう。
薬剤師の資格を生かした異業種の転職先を見つける
薬剤師の転職先は、薬剤師だけに限定されているわけではありません。
薬剤師資格は薬学の知識があることを示すものですので、下記の職種でも需要があります。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは治験で中心的な役割を果たす業務を担います。
治験で使用する薬の説明を患者さんだけではなく医師にも伝えることになります。
薬剤師が担当することでより専門性が向上しますので、応募資格に薬剤師資格を記す企業もあります。
より薬が実際に使われる現場に近い位置で仕事ができますので、薬剤師としてキャリアの幅をより広げたい方におすすめです。
化粧品メーカー
化粧品メーカーも薬剤師の資格が生きる職場です。
ヒトの皮膚に直接触れるものですから、実際の使用に問題はないか、副作用は出ないかをよくチェックする必要が出てくるのです。
薬学の知識をフル活用できますので、研究開発の分野に携わりたいと考えている方におすすめの職種であるといえるでしょう。
薬剤師専門の転職エージェントを活用する
薬剤師として転職を成功させたい場合には、薬剤師専門の転職エージェントを活用することも検討してみてください。
薬剤師専門の転職エージェントでは、みなさんのスキルや要望に合わせた求人紹介を行ってくれるほか、転職活動を進めやすいように全力でサポートしてくれます。
また求人サイトに出ていないような非公開求人も紹介してもらえる可能性があります。
無料で利用できるので、是非一度利用を検討してみてください。
転職を有利に進めたい薬剤師向けの転職サイト・エージェント
ファーマキャリア
ファーマキャリアは正社員の薬剤師転職に強みを持つ転職エージェントです。
取り扱っている求人だけではなく、なんと希望に合わせて求人をオーダーメイドで作成してもらうことも可能です。
求人の出ていない医療機関にも連絡を取って、皆さんのために求人を出してもらえないか交渉してくれるのです。
また未経験やブランクがあっても求人の紹介に対応してくれるので、ママ薬剤師でも転職先が見つかる可能性があります。
調剤薬局の求人を主に取り扱っていますので、地域医療で活躍したい方におすすめの転職エージェントです。
マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は大手マイナビの運営する薬剤師専門の転職エージェントです。
転職をサポートしてくれるキャリアアドバイザーが丁寧に対応してくれるので、初めての転職活動でも安心です。
一度に紹介される求人数も多いので、とにかく多く求人を確認して転職先を見つけたい方は利用を検討してみてください。
市場価値を高めて薬剤師として転職先を見つけよう
いかがでしたか?
薬剤師は今まで転職がしやすいといわれてきたものの、コロナや業界の変化により、転職が難化していくことも予想されています。
現在の薬剤師のニーズをよく把握して、市場価値を高めることで転職先を見つけられる可能性があるので、是非試してみてください。
薬剤師としての市場価値を高められるように、今のうちから準備しておくことをおすすめします。