火災保険の保険金を修理目的で使わなくても問題はないのか、詐欺で訴えられることはないのかについて、わかりやすく解説していきます。
火災保険では火災の他にも、水害や落雷、風害や落書きなど家に関する損害であれば保険金が受けられます。
しかし損害が発生して保険金を請求した後に、別のことでまとまったお金が必要になって保険金を使ってしまおうか…と考えている人もいるでしょう。
ですが本来の目的は損害個所の修理費用ですから、他のことに利用してしまって保険金詐欺として訴えられてしまうかも…と不安になってしまうのも仕方がありません。
火災保険の保険金で修理しなくても大丈夫なのか、詳しい情報をまとめました。
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火災保険の保険金を修理費に充てなくても大丈夫?
結論から言って、火災保険の保険金で修理せずに他の用途にお金を使っても問題はありません。
実は保険金の使い道は保険会社からは指定されておらず、受け取った時点で契約者のお金になりますので思い通りに使っても問題はないのです。
火災保険では損害が生じるとその箇所に関する見積もりを取ったうえで、保険会社に保険金請求を行います。
保険会社は提出された内容を元に、損害個所の損害度や修理するのにどれくらいの費用が掛かるのかを計算し、調査を行います。
調査の結果、損害箇所の修繕に必要な金額が口座に振り込まれることになります。
損害が発生した箇所を買い替えるために新品の値段が支払われるのではなく、修理費用として渡されます。
修理費用として渡されたからといって必ずそれに従わなければいけないわけではなく、極端に言えば競馬などの賭け事や家計の足しにしても罰則はありません。
2022年10月以降に一部保険会社で厳格化
一方で、近年では、一部の保険会社が条件付きで保険金の使い道を指定するケースも増えています。
三井住友海上の火災保険は、2022年10月以降より、保険の対象が建物の場合の復旧義務を下記のように定めています。
保険の対象である建物等(注1)、または、付帯された特約で対象となる付属建物、屋外設備、機械設備等に損害が発生した場合には、原則、損害の発生日から2年以内にその保険の対象を復旧(注2)していただく必要があります。(注3)
当社は、修理業者等からの請求書・領収書および、損害を受けた箇所の復旧後の写真・画像データ等のご提出により、復旧の事実、内容、時期を確認したうえで、保険金をお支払いします。
また、復旧を行わない場合にも、その旨を当社にご連絡いただく必要があります。
- (注1)保険証券記載の建物のほか、普通保険約款・建物条項に記載の保険の対象を含みます。
- (注2)損害が発生した時の発生した場所における、保険の対象と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得した状態に復することをいいます。
- (注3)「お支払いする保険金の額」に記載の全焼・全壊に該当した場合、または、その他合理的な理由がある場合には、あらかじめ当社にご連絡をいただいたうえで当社が認めた場合は、復旧の期間・建物の用途・復旧の場所等について、変更することができます。
上記の事例では、建物の損壊等が原因で火災保険を利用する場合、建物の復旧義務が生じることが明記されています。
上記のような場合、建物の復旧をおこなわないと契約違反になってしまいます。
火災保険の保険金を修理に充てないデメリット
保険金を修理に充てないならメリットばかりではないかと考える人もいるでしょう。
しかし保険金を修理費用に充てないことで、以下のデメリットが生じることになりますので、よく確認してから保険金の使用用途を検討するようにしましょう。
損害部分の修理費用がなくなる
当たり前のことなのですが、保険金を別のことに利用してしまうと損害部分の修理費用がなくなり、壊れた箇所を放置することになります。
保険金を使い込んでしまい、本当に修理しようとしたときになった場合、自分で修理費用を用意しなくてはなりません。
一時的に足りなくて後で補填するという目的であれば問題ないのですが、欲しいものややりたいことがあるからとりあえず保険金を使ってしまうと、あとで自腹を切らなくてはいけない状況に陥ることがありますので注意が必要です。
あくまで建て替えで保険金を使うことを頭に入れておくとよいでしょう。
損害個所を放置すると再度保険金請求ができなくなる
火災保険会社から支給された保険金を利用せずに、損害箇所を放置したとしても、契約者本人の生活に支障が出るのみです。
しかし損害をそのまま放っておいて、また災害や偶発的な事故で同じ場所が更に壊れてしまい、再度保険金を請求すると申請自体が突き返されてしまい保険金が受け取れなくなってしまいます。
保険会社としては修理すると言っていたから保険金を支払ったのにも関わらず、別の用途で使われていて本来使われるべき場所で使われていないのですから当然のことでしょう。
保険金が受け取れない=悪化した損害箇所を実費で修理することになりますから、前回よりも高額な修理費用が掛かることになります。
もちろん家の損害が他の場所で起こって保険金を請求した際に、修理していないことがバレることだってあります。
保険金を一時の感情で他の事に利用していると、後々苦労することになりますので、できる限り保険金は本来の目的のまま利用するようにしましょう。
火災保険の保険金の取扱いに関するポイント
嘘をついて保険金を受け取った場合は詐欺(契約違反)にあたる?
火災保険の適用時は、実際の建物の損壊状況をしっかり調査され、その修繕費として適した金額が振り込まれます。
そのため、申込時に嘘をついても、バレる可能性は極めて高いです。
稀に、火災保険の加入者自身が建物に傷をつけて、保険会社に連絡するような事例が報告されます。
このようなケースは、発覚次第に契約違反とみなされ、刑罰や返金の対象になります。
保険金よりも安く修理をしても問題はない?
前述の三井住友海上の火災保険のように、建物の復旧義務を定められているケースもあります。
この場合、修理業者に振り込まれたより安く修理をして、保険会社に復旧完了したと判断されたのであれば、余剰金を返金する必要はありません。
ただし、保険金は比較的厳しく設定されるため、大きな余剰金が出るほど安く工事が依頼できるケースは多くありません。
あまりに安く工事を依頼すると手抜き工事となる可能性もあるため、注意が必要です。
火災保険の保険金は基本的に修理目的で利用すべし
火災保険では保険金請求時に提出した見積書を元に保険金を支払う仕組みになっているため、受け取った保険金をどう使うかは受け取り側の自由となり、特に用途は決められていません。
そのため別の支払いに流用することも可能ですが、修理費用を後々用意しなければならないほか、修理しないことで再度同じ場所が破損した場合に保険金が受け取れないデメリットがあります。
後々「あのとき使わなければよかった…」という状況ににならないように、可能な限り保険金は修理費用のみに使うことをおすすめします。