保険

生命保険料控除の対象は誰?いくら戻る?仕組みをわかりやすく解説

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生命保険に加入していると、毎年10月ごろに生命保険料控除証明書が届きます。

初めて生命保険に加入した人にとっては、生命保険料控除が具体的に何なのかわからない!という方も多いことでしょう。

結論、生命保険料控除では、支払った保険料に応じて、所得税や住民税の一定額が控除できます。

ただし支払った保険料を全額税額から控除できるわけではなく、「控除上限額が設定されている」「申請できる生命保険料控除の種類が異なる」など、正しく把握しておく必要があります。

今回は初めて生命保険料控除を利用する方向けに、制度の内容や申請する際の注意点について徹底的に解説していきます。

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生命保険料控除は払った保険料で税控除が受けられる制度

生命保険料控除は、その名の通り支払った生命保険料の金額に応じて、所得税や住民税の控除が受けられる制度です。

本来所得税や住民税は、各自の年収に応じて決定されるものの、世帯の人数や生活の状況に応じては、税金が生活上の負担になることもあります。

支払った生命保険料や医療保険料などの金額に応じて、課税所得金額から一定金額が控除されます。

還付とは異なり、もともと課税される課税所得金額から差し引かれるだけですので、負担が減っている自覚を持ちにくいです。

しかし控除金額があるとないとでは、税額が変わるので、影響は違ってきます。

生命保険料控除は全部で3種類ある

生命保険料控除と言っても、実は申請できる保険料の区分は全部で3つあります。

①通常の生命保険料控除

定期や終身などを問わず、死亡保険や学資保険など、加入者が亡くなった場合の保障がついている保険に加入している場合、申請すれば1年間に支払った保険料の金額に応じて所得控除が受けられます。

お子さんのいる家庭なら、学資保険の保険料を支払いながら控除が受けられるのは助かります

②介護医療保険料控除

介護医療保険料控除は、その名の通り介護保険や医療保険に加入している場合、1年間に支払った保険料の金額に応じて所得控除が受けられます。

またガン保険も医療保険と同じ区分になりますので、所得控除が受けられます。

新制度になってから新設された区分です。

③個人年金保険料控除

個人年金保険に加入している場合、1年間に支払った保険料の金額に応じて、所得控除が受けられます。

ただし保険に個人年金保険料税制適格特約が付加されていることが、適用の条件として挙げられています。

また、年金の受取人が本人または配偶者、保険料の支払い期間は10年以上など、細かいルールが定められているため、適用できる人が限られる可能性が高いです。

生命保険料控除が改正!改正後の4つのポイント

生命保険料控除は昔からあった制度ですが、2012年に改正が適用されて、以下の4つの点に変更点が生じました。

  1. 控除の適用限度額が引き下げられた
  2. 介護医療保険料控除が新設!全体で控除できる金額が増
  3. 契約時期によって新旧どちらの制度が適用されるかが変わる
  4. 控除対象外になる特約がある

以下で詳しく解説していきます。

①控除の適用限度額が引き下げられた

2012年に生命保険料控除の制度が改正されて、控除の適用限度額が引き下げられました。

旧制度では、生命保険料年間10万円以上の場合、所得控除額が5万円まで認められていました。

しかし制度の改正後、所得税の所得控除額の上限が4万円にまで引き下げられました。

ただし4万円の控除を適用してもらうには、年間で8万円以上の保険料を支払う必要があります。

②介護医療保険料控除が新設!全体で控除できる金額が増

生命保険料控除の所得税の所得控除額の上限が引き下げられている一方で、新制度ではこれまでの生命保険料控除や個人年金保険料控除に加えて、介護医療保険料控除が新設されました。

所得税の所得控除額は、各区分に応じて4万円が上限に設定されていますので、すべての控除を利用すると最大で12万円の所得控除が受けられます。

旧制度では控除の区分が2つしかなく、合計最大で10万円分の控除しか適用できなかったため、新制度では全体で見れば控除できる金額が増えています。

③契約時期によって新旧どちらの制度が適用されるかが変わる

生命保険や医療保険の契約時期によって、新・旧どちらの制度が適用されるかが変わります。

2011年12月31日までの契約であれば、旧制度が適用されます。

一方2012年1月1日以降の契約の場合は、新制度が適用されることになります。

保険料控除を申請した年ではなく、保険を契約した時期に応じて、控除の対象が変わります。

④控除対象外になる特約がある

生命保険料控除では、支払った保険料そのままが控除の算定に用いられるわけではありません。

付帯されている特約の種類によっては、保険料控除の対象外になります。

新制度で追加された介護医療保険料控除でも、一部の特約に関しては保険料控除の対象外になりますので、注意が必要です。

改正前・改正後の生命保険料控除の計算方法

生命保険料控除が改正される前、改正された後では、控除額の計算方法も変わります。

以下では改正前と改正後にわけて、解説していきます。

改正前の場合

生命保険料控除が改正される前の旧制度では、所得税と住民税は下記の通り計算されます。

所得税

各区分で年間で支払った保険料 控除される金額
25,000円まで 支払った保険料全額
25,001円~50,000円 支払った保険料×1/2+12,500円
50,001円~100,000円 支払った保険料×1/4+25,000円
100,001円~ 一律50,000円

生命保険料も個人年金保険料も上記の計算式が用いられますので、最大10万円まで所得税の計算の基となる課税所得から控除されます。

住民税

各区分で年間で支払った保険料 控除される金額
15,000円まで 支払った保険料全額
15,001円~40,000円 支払った保険料×1/2+7,500円
40,001円~70,000円 支払った保険料×1/4+17,500円
70,001円~ 一律35,000円

生命保険料控除の改正前は、最大7万円まで住民税の計算の基となる課税所得から控除されます。

改正後の場合

生命保険料控除の改正後には、所得税と住民税は下記の通りの金額で計算されます。

所得税

各区分で年間で支払った保険料 控除される金額
20,000円まで 支払った保険料全額
20,001円~40,000円 支払った保険料×1/2+10,000円
40,001円~80,000円 支払った保険料×1/4+20,000円
80,001円~ 一律40,000円

制度改正前と比べて、年間で支払った保険料の金額の上限が下がり、控除される金額が、5,000円程度減額されています。

ただし旧制度と比べて、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料と、申請できる保険料の枠が増設されているので、最大総額12万円の控除が受けられることになります。

住民税

各区分で年間で支払った保険料 控除される金額
12,000円まで 支払った保険料全額
12,001円~32,000円 支払った保険料×1/2+6,000円
32,001円~56,000円 支払った保険料×1/4+14,000円
56,001円~ 一律28,000円

住民税も旧制度より減額されていますが、所得税と同様に、全体で見れば84,000円と増額されています。

旧制度と新制度両方で申請することも可能

加入している生命保険や医療保険が、旧制度適用時期と新制度適用時期の両方に加入している場合もあります

その場合はどちらかの制度に金額をそろえることはなく、両方の制度を利用して申請できます。

介護医療保険料控除は新制度でしか控除できない

介護医療保険料控除は、2012年1月1日以降に締結された契約にのみ適用されます。

そのため旧契約に設定された控除枠はありません。

旧制度と併用する際には、介護医療保険料控除の対象になる期間かをきちんと事前に確認しておきましょう。

旧制度と新制度を併用しても最大上限金額は新制度のまま

旧制度と新制度を併用しても、最大で控除される上限金額は新制度の金額が適用されます。

仮に所得税で所得控除を利用する際に、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除を旧制度で最大各5万円、介護医療保険料控除を新制度で最大4万円までの合計14万円を申請したとしましょう。

新制度で各控除区分を合計して控除を受けられる金額は、上限12万円に設定されていますので、上回る2万円分は控除の適用外になります。

旧制度と同じ感覚で保険料控除を受けようとすると、上限金額を超えてしまい、控除枠が無駄になってしまいますので注意が必要です。

ただ、保険は自分のリスクに備えて加入するものですので、控除はただの副産物にすぎません。

控除のために保障を削る、控除のために保険に加入することは、本来の目的から外れてしまいます。

生命保険料控除を申請するときの注意点

生命保険料控除を利用するときは、以下の注意点を把握しておきましょう。

  • 保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を無くさない
  • 年末調整時を逃すと自分で確定申告することになる
  • 旧制度後に更新=新制度の対象に
  • 主契約にのみ控除が適用される
  • 保険期間が5年未満の貯蓄目的の保険は控除対象外

以下で詳しく解説していきます。

保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を無くさない

生命保険料控除を申請するには、各保険会社から毎年10月ごろに送付されてくる、生命保険料控除証明書が必要になります。

生命保険料控除証明書がないと、会社で行う年末調整時に提出できないので、控除が受けられません。生命保険料控除を紛失してしまった場合、保険会社に連絡して再発行してもらいましょう。

ただし年末調整の申請期日に合わせることは難しいです。

そのため、保険会社から送られてきたタイミングで、きちんと保管しておきましょう。

年末調整時を逃すと自分で確定申告することになる

企業に勤めている人は、年末調整時を逃すと、自分で確定申告をしないと控除を適用してもらえません。

確定申告は皆さんもご存じの通り、毎年2月になると税務署に長蛇の列になったり、申請が難しく初めて申請を行う人が頭を悩ませる恒例行事です。

年末調整時を逃してしまうと、自分で書類をダウンロードして、税務署に申告しなければなりません。

インターネットでも対応出来ますが、窓口で申請したほうが確実性が高いと考える方もいるでしょう。

かんたんに済ませられる申請を自分から面倒な方向に引き込まないためにも、きちんと期日までに資料を提出するなどの対応を取りましょう。

旧制度後に更新=新制度の対象に

生命保険では更新型の保険もあり、契約したのは旧制度適用の2011年12月31日以前だという人もいます。

しかし新制度移行後に同じ保険に更新してしまった場合は、新制度が適用されてしまい旧制度の金額では控除を受けられませんので、注意が必要です。

更新とはそもそも、同じ保険に再度年齢に応じた保険料に算定しなおして契約しなおすものです。

新制度適用期間に更新した場合には、新制度で加入した保険としてカウントされます。

そのため新制度期間中に旧制度の枠のまま申請できるのは、2011年12月31日以前に加入した終身保険が大半であるといえます。

主契約にのみ控除が適用される

生命保険や学資保険では、様々な特約を付けて保障範囲を広げるのがほとんどです。

しかし生命保険料控除においては、主契約にのみ控除が適用されることになっています。

保険で特約を付けるのは、保障範囲を広げること=支払う保険料が多くなることを指します。

保険料だけに注目して保険料控除を適用してしまうと、全員が満額まで控除を受けられることになってしまいます。

主契約にのみ保険が適用となると、複数の特約を付帯されている方には損に感じられてしまうかもしれません。

保険期間が5年未満の貯蓄目的の保険は控除対象外

保険期間が極端に短い場合にも、控除の対象外になります。

保険期間が5年未満の貯蓄目的の保険は、生命保険料控除として利用できないため加入している方はきちんと把握しておくことをおすすめします。

生命保険料控除について把握して保険料を効率的に利用しよう

いかがでしたか?

生命保険料控除は、支払った保険料に応じて所得控除の受けられる制度ですので、利用しない手はありません。

ただし2012年の制度の改正に伴って、控除の適用される範囲と金額が変わったので、注意が必要です。

また旧契約と新契約を併用する場合、計算式が複雑になりますので、何が適用されるのかをきちんと把握したうえで申請を進めていきましょう。

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