■保有資格
ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級FP技能士、宅地建物取引士、証券外務員一種
50代になると健康診断などで不安な数値が出てくる、周囲でも入院する人が出てくるなど、医療保険の必要性を感じ始める時期です。
しかし、一方では医療保険はもっと上の年代で必要になると考えている人も多いため、自分の年代でどの保険を選べばいいかわからない、必要な保障がわからないなんて方もいることでしょう。
今回は50代が医療保険に加入するときのおすすめの選び方を徹底的に解説していきます。
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50代に医療保険が必要である3つの理由
50代で医療保険が必要になる理由は、以下の3つです。
- 50代になると病気にかかるリスクが上がる
- 健康寿命と平均寿命の差に対応するための準備期間
- 定年退職後の医療保障を得るために必要
以下で詳しく解説していきます。
50代になると病気にかかるリスクが上がる
50代になるとそれまでの年代に比べて病気になるリスクが上がっていきます。
2022年に厚生労働省により発表された国民生活基礎調査では、年齢別に見た通院者数で、50代を境に急激に数が増えていることがわかります。
年齢階級 | 総数(単位:人口千対) |
---|---|
9歳以下 | 131.3 |
10~19 | 138.0 |
20~29 | 153.5 |
30~39 | 211.3 |
40~49 | 280.2 |
50~59 | 418.8 |
60~69 | 589.8 |
参考:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
同調査では高血圧症や糖尿病での通院が多いとされています。
高血圧症や糖尿病などの生活習慣病は年齢が上がるにつれて、数値が表面化しやすいと言われています。
50代の通院者数の増加を見てみてもわかる通り、50代を境に体調の問題が表面化してくることが多くなります。
これまでよりも医療費がかかりますから、かさむ医療費に対応するために医療保険への加入が必要になります。
健康寿命と平均寿命の差に対応するための準備期間
50代は健康寿命と平均寿命の差に対応するための準備期間に位置づけられます。
日本は長寿大国と言われており、平均寿命が世界トップクラスといわれています。
しかし平均寿命が長ければ、その年齢まで健康でいられるかは確証が持てません。
実は平均寿命のほかにも、人間が健康でいられる健康寿命という指標があります。
厚生労働省の資料によれば、下記の通り平均寿命と健康寿命に差があることがわかりました。
性別 | 平均寿命 | 健康寿命 | 差 |
---|---|---|---|
男 | 79.55歳 | 70.42歳 | 9.13年 |
女 | 86.30歳 | 73.62歳 | 12.68年 |
健康寿命は日常生活に支障のないレベルと定められていますので、寿命が来るまでの上記の差は病院での入院生活や通院での治療を余儀なくされる可能性が高いです。
また、2017年に厚生労働省が行った患者調査によれば、50代の入院患者総数が102,500人であるのに対して、70代の入院患者総数は297,700人とされています。
健康寿命に近づくにつれて入院する確率も上がっていきます。
医療保険では入院や手術費用を保障してくれますので、加入しておいて損はありません。
定年退職後の医療費保障を得るために必要
50代は定年退職の近い時期でもあります。
定年退職後は年金が受給できる年齢になるまで、再就職をすることもあるでしょう。
しかし多くは定年前の収入よりは少なくなってしまいますので、頻繁に入院や手術を繰り返していては、貯金も底をついてしまうかもしれません。
定年退職後の医療費保障を得るためにも、医療保険に加入して給付金で賄うことが重要なのです。
50代の独身でも医療保険に加入する必要性は上がる
20代、30代のころは独身の場合は医療保険に加入する必要性は低く、必要と感じているのであれば最低限の保障に加入すればOKです。
しかし50代にもなると、他の年代に比べて医療保険に加入する必要性はグンと上がります。
若い世代であれば病気になるリスクは低いですし、困ったときには医療費を両親に頼ることも可能です。
しかし50代にもなると前述の通り病気になるリスク高くなりますし、両親に先立たれている人も多く、両親に頼ることもできません。
高齢になるにつれて、自分で自分の保障を用意する必要性が上がっていきますので、50代の独身でも医療保険に加入する必要性が出てくるのです。
50代で加入がおすすめの医療保険の種類
50代で加入がおすすめの医療保険の種類は以下の通りです。
- 定期医療保険で必要な期間だけを保障
- 終身医療保険で定年退職後も長期保障
以下で詳しく解説していきます。
定期医療保険で必要な期間だけを保障
一定の期間だけ保障が欲しい50代の方は、定期医療保険に加入することをおすすめします。
定期医療保険では、保険期間が〇歳あるいは〇年と決められており、一定期間の保障を得られます。
個人で期間を設定できるので、定年までや子どもが自立するまでの期間、保険の保障を受けられます。
ただし定期医療保険の保険期間が満期を迎えると、続けるためには更新が必要になります。
更新の際には、健康告知を再度行う必要性はありませんが、年齢に合わせて保険料が見直されます。
年齢が上がるにつれて、保険料は高くなっていきますので、高齢になってからも継続して保障が欲しい方には向いていません。特に50代以降になってからの更新では保険料の上昇率はグンと高くなります。
終身医療保険で定年退職後も長期保障
終身医療保険は、短期払いもありますが、保険料を支払っている期間一生涯で保障が継続される保険です。
定期保険のように満期の概念がなく、文字通り亡くなるまで保障を受けられます。
定期保険よりは保険料が高くなるのがデメリットですが、早い段階で加入しておけば上の年代よりは安い保険料で加入できるでしょう。
50代が医療保険を選ぶときにおすすめの選び方
50代が医療保険を選ぶときには、以下の選び方を参考にしてみてください。
- 公的医療保険の利用範囲を確認して足りない分だけ加入する
- 定年退職後の月収で支払いきれる保険料で契約する
- 入院の長期化に備えて給付金支払い期間を120日に設定しておく
- 子供が独立していないなら保障を手厚くしておく
- 女性なら女性特有の疾患の特約を付帯しておく
- 既に保険に加入しているなら見直しを検討する
- 保険相談窓口で相談してみる
- インターネットや雑誌のランキングを参考にする
以下で詳しく解説していきます。
公的医療保障の利用範囲を確認して足りない分だけ加入する
50代が医療保険に加入するときには、自分の年齢でどの程度公的医療保障を利用できるかを確認することが大切です。
日本は国民皆保険の制度が整っており、健康保険加入で医療機関での窓口負担を原則3割まで軽減してもらえます。
また入院時の費用負担軽減のために、高額療養費制度や限度額適用認定証の発行など、実質負担や窓口負担を軽減できる制度が整っています。
医療保険に加入する際には、公的医療保障でどの程度保障されるかを確認した上で、足りない分だけを加入するのが一般的です。
差額ベッド代や入院時の生活費、先進医療の費用などは公的医療保障の対象外になりますので、医療保険などでカバーするといった考え方でOKです。
高額療養費制度は年齢や年収によって自己負担額が変わりますので、各自で確認して費用の計算が必要になります。
定年退職後の月収で支払いきれる保険料で契約する
定年退職後の月収で支払いきれる保険料で契約するようにしましょう。
定期保険に加入するにしろ、終身保険に加入するにしろ、50代で新規加入するとなると保険料はおのずと高くなります。
上述した通り多くは定年退職後には収入が減少していきますので、収入に占める保険料負担の割合も見直す必要が出てきます。
定年退職後の月収で支払いきれる保険料で契約しておかないと、毎月の保険料支払いが厳しくなってしまいますので、注意が必要です。
入院の長期化に備えて給付金支払い期間を120日に設定しておく
50代以降になると入院が長期化する傾向が見られていますので、医療保険に加入する際には入院の長期化に備えて給付金支払い期間を120日に設定しておくことをおすすめします。
一般的に医療保険に加入する際には、給付金の支払い限度を60日に設定します。
しかし入院の長期化がみられると、60日では足りなくなってしまうことも予想されます。
50代以降の健康リスクも考慮して、給付金支払い期間を120日に設定しておくことをおすすめします。また、三大疾病などの特定の病気の給付金支払期間が無制限になる商品もあります。
子供が独立していないなら保障を手厚くしておく
50代で子供がいても、まだ独立するまでの期間がある場合には、保障を手厚くしておくことをおすすめします。
子供が独立する前に病気にかかってしまい、長期入院をするとなると子供の学費にかかる費用と、医療費で家計が火の車になることが予想されます。
子供が独立していない期間の保障を手厚くしておいて、急な入院でも対応できるようにしましょう。
ガン特約など、特に長期入院が予想される場合に備えて、特約を付加しておくことをおすすめします。
女性なら女性特有の疾患の特約を付帯しておく
50代の女性なら、乳がんや子宮がんなどの女性特有の疾患に備えられる特約を付加しておくことをおすすめします。
女性は男性よりも病気にかかる可能性が増えていきます。
医療保険の多くは女性特有の疾患に備えられる特約が付加可能です。
特約を付けることで、万一乳がんや子宮がんと診断された場合に、通常の給付金に加えて保障が受けられます。
既に保険に加入しているなら見直しを検討する
既に医療保険に加入しているのであれば、加入している医療保険の見直しを行いましょう。
加入している医療保険の保障内容を確認して、保険料は適切か、保障内容は十分かを確認してこのまま契約を継続していいかを判断していきましょう。
既に保険に加入しているのであれば、方向性を見直して必要に応じて特約を外したり、追加していきましょう。
保険相談窓口で相談してみる
50代で医療保険に加入するときに、自分に合った保険がどれか迷ったときは、保険相談窓口で相談してみる事をおすすめします。
保険相談窓口では、さまざまな年代の保険相談を受け付けています。
複数の保険会社の商品を比較したり、年収や今後のライフプランを考慮して、保険商品を提案してくれます。
保険相談窓口での相談料は無料ですし、キャッシュフロー表の作成も対応してくれるところがあります。
複数の保険相談窓口で相談して比較検討することをおすすめします。将来を見据えて保険に加入したい方に向けたサービスが充実していますので、ぜひ保険相談窓口での相談を検討してみてくださいね。
インターネットや雑誌のランキングを参考にする
医療保険の商品内容はニーズに合わせて最近ますます多様化して、選ぶのが難しくなっています。そんなときにインターネットや雑誌のランキングを参考にすることをおすすめします。
日帰りでも5日分の入院給付金が受け取れたり、三大疾病時には入院給付金の支払い日数が無制限になったり、一定条件の給付金の支払いがない場合保険料が安くなるなどの様々な特徴ある商品が生まれています。
インターネットや雑誌のランキング記事には単に順位だけではなく、その理由が記載されていることが多いです。
多くの選択肢から必要な情報を取り出し、整理し、自分のニーズに合った商品を選ぶのに大いに役立ちますので試してみてください。
50代で病気があっても医療保険に加入できる?
50代になる前にガンにかかったり、大きな手術を経験したことがある方もいますよね。
基本的に医療保険は告知時に定められた期間内に、該当する医療行為を受けている場合には加入を断られることがあります。
ただし完治してから時間が経過し、該当する病気で受診歴がない場合には保険料割り増しなどの条件付かもしれませんが、医療保険への加入を認めてもらえる可能性があります。
また、引受基準緩和型の保険であれば、告知義務事項に該当していたとしても、基準が広く設けられているため保険加入がしやすくなっています。
50代で病気があっても医療保険に加入できるか不安な方はまずは普通に申し込んでみて拒絶されたら、引受基準緩和型の保険への加入を検討してみてください。
この記事を読んで50代での医療保険加入に不安を感じた若い方は終身医療保険の加入を検討してみてください。
50代が医療保険に加入するなら年齢リスクに合わせた保障を選ぼう
50代は40代以前と比べて病気にかかるリスクが非常に高いため、家計の中で医療費の比重が大きくなってしまいます。
医療保険に加入するなら年齢ごとのリスクに合わせた保障を選びましょう。
また定期保険と終身保険、どちらを選ぶかもよく検討してみてください。
保険料の高さやいつまで保障が欲しいかなど、総合的に考えて保険を選んでいきましょう。
また医療保険から派生した商品が数多く販売されています。
医療保険加入後にはこれらの保険も検討してみてはいかがでしょうか。