AIの進化により、Webマーケティングの世界は想像を絶するスピードで変化しています。Web広告の最前線で働く広告運用のスペシャリスト 森 俊貴さんは、業界全体が激変予想の2020年後半をどのように捉え、価値を見出そうとしているのか。キャリアを振り返るとともに、Web広告の未来について聞きました。
<プロフィール>
森俊貴(Toshitaka Mori)
プロモーションスペシャリスト
広告運用最高責任者
慶応義塾大学を卒業後、2016年4月に入社。自社メディアのライティング、新規事業の立ち上げ・運営などを経て、2017年から、インターネットメディア「転職キャリアガイド」の広告制作・運用を担当。2022年、同サイトで運用したGoogle広告で驚異的な成果を出し、成功事例共有としてGoogle主催セミナーに登壇。現在は、広告運用のスペシャリストとしてあらゆるプロジェクトに携わる。
もがきながら結果を出し続けて築いた独自ポジション
―東晶貿易に入社を決めた理由を教えてください。
自分がやりたいことを仕事にしようと考えていました。慶應義塾大学のメディアサークルに所属していたこともあり、もともと文章を書くのは好きでしたね。そして、何かをつくる仕事に携わりたいなど、自分が好きなことを紐解くうちに、「Web業界なら、自分の手を動かして何か新しいモノがつくれるかもしれない!」と、思うようになりました。就職活動をする中で、東晶貿易のWebマーケティングに興味を持ち、働いている人に惹かれて入社を決めました。
―入社後は、どのような仕事を担当していたのですか?
最初の仕事は、自社メディアの記事を書くことでした。文章を書くのは得意だったのですが、Webライティングは想像以上に難しく、良い記事が書けない、結果が出せない。さらに、新規事業を担当することになり、クライアント交渉、Webサイト制作、広告制作・運用と幅広い業務を任せてもらったのですが、ゴチャゴチャのパンク状態に。負のスパイラルに陥ってしまい……もがいた時期もありました。
でも、自分のやりたいことと得意なこと、逆に苦手なことを整理して、社長や上司と何度も話すうちにガチっとハマる解を見つけることができたんです。それが、Web広告の制作・運用に注力するという働き方でした。
―得意なことが活かせる、やりたいことに挑戦できる環境が整っていたんですね。
どちらかと言えば、特定ジャンルの業務に注力するポジションを立ち上げてもらったというイメージです。私は新卒二期生で、会社はさらなる成長のために人事制度や研修・教育制度を整備している時期でした。役員や幹部は適材適所の実現に取り組んでいて、私はキャリアの選択肢を広げてもらったと感じています。
スペシャリストという肩書き・役職をもらったのは2022年ですが、2017年からWeb広告の制作・運用を専門としています。現在は、新プロジェクトの広告運用を軌道にのせるまで担当者に伴走したり、業務効率をアップさせる仕組みをつくったりしています。
ー広告運用のスペシャリストとして結果が求められるポジション。プレッシャーを感じることはありませんか?
プレッシャー1割、やる気9割ですね。もちろん結果を出さなければならず責任も伴いますが、得意なことに注力させてもらっているので楽しいです。
東晶貿易の魅力のひとつは、入社直後から幅広い業務に携われることです。私は、さまざまな経験を通して、自分の得意なことや苦手なことに気付くことができました。そして、絶対の自信があるWeb広告の運用に集中し、結果をコミットすることで自らのポジションを確立しました。
圧倒的な成果で社内外から高評価。Google主催セミナーに登壇
ー印象に残っている担当プロジェクトは、やはり「転職キャリアガイド」でしょうか?
そうですね。2017年から広告制作・運用を担当している、自社インターネットメディア「転職キャリアガイド」。当初は転職市場も活況で、とにかく地道に朝から夜までパソコンに向き合う毎日でしたが、やればやるだけ結果がついてきました。業界トップを獲得し、売上・利益も好調に推移していましたが、2020年に大きな転換期を迎えることに。
コロナ禍で転職市場はもちろん、多くの企業で採用活動は停止状態に。さらに、AIの能力が人間を越えたと言われるようになり、Web広告だけでなく、Webマーケティングもそれまでのやり方が通用しなくなりました。もちろん、業績も急降下。最悪の状態から脱却したいと試行錯誤しましたが、うまくいかない。それでも動きを止めることはできず、Google広告の担当者と相談して、広告自動入札(*1)とインテントマッチ(*2)の導入を決めました。当時、豊富な実績があったサービスではありませんでしたが、挑戦しないと今の状況は変わらないと、とにかく必死でしたね。
この施策が功を奏し、コンバージョン数(*3)は69%アップ。広告運用に使っていた時間を50%ダウンという非常に大きな成果をあげることができました。この事例は社内外で評価をしていただき、Google主催セミナーで発表することになりました。
(*1)「自動入札」とは?
Web広告を出稿する際の入札単価を自動で調節する機能のこと。
入札単価は、広告1クリックに対して支払う金額のこと。入札単価が高いほど上位に広告が表示される可能性が高くなるとされています。
(*2)「インテント マッチ」とは?
完全一致やフレーズ一致ではマッチしない、関連性の高い他の検索ワードを見つけ出して広告を表示する方法。
(*3)「コンバージョン数」とは?
表示された広告をクリックしてサイトに訪れたユーザーが、会員登録、商品購入、問い合わせなどの行動した数のこと。
ー最悪の状況を打破するための挑戦が大きな成果につながりました。どのようなモチベーションで取り組んでいたのですか?
経験を積んで、Web広告の運用には絶対の自信がありました。社内で一番知識があるのは自分だと思っているので、信じて進めるだけでしたし、広告運用のスペシャリストとして責任を持ってコミットする、結果を出すことしか考えていませんでしたね。
ー森さんが思うWeb広告やWebマーケティングの面白さを教えてください。
スピード感と正確性です。例えば、Web広告は1時間単位でかなり正確な効果測定ができます。リアルタイムに反響を確認して、施策をどんどん打っていく。数字を見て想像を膨らませて仮説を立て、実行、検証を繰り返す。スピード感はとても刺激的です。
また、IT業界はまだ若くて、どんどん変化しているのも面白いですよね。Google広告は2000年に誕生し、日本で始まったのは2002年。Facebookのフィード広告は2012年にスタートしました。私は2016年からIT業界に身を置きWebマーケティングに携わっていますが、業界の歴史のうち3分の1を自分が知っているなんて、ワクワクしますよね。また、AIという最先端技術に触れるのも醍醐味です。
クオリティの高いAIを育てることが事業成長の鍵
ーAIが進化し身近な存在になりました。さらなる発展が見込まれますが、Webマーケティングや広告はどのように変化すると思いますか?
広告運用の視点では、「原点に戻る」のではないかと考えています。
以前は、この商品ならターゲットは「都内在住・20代・男性」と経験から予測し、手作業で入力しながら広告を出稿していました。時間もかかりましたし、とにかく地道にPDCAをまわし続けるイメージですね。
AIが登場して作業効率は大幅にアップし、広告出稿自体は簡単になったと言っても過言ではありません。例えば、SNS広告は個人でも使えて、ターゲットや期間など指定項目を選択するだけで広告出稿ができますから。さらに、近い将来、AIはテキストだけでなく、テキストと写真、写真と画像などの組み合わせも判定できるようになり、バナー広告のデザインもできるようになると言われています。
Web業界・AIが物凄いスピードで進化する中で、私たちが結果を出し続けるためには、広告運用で使用するAIのクオリティを高める必要があります。商品やサービスなどプロジェクトに最適なAI、業界トップを獲得するためのAIを育てなければなりません。AIにどんな情報を読み込ませて学習させるかが、とても重要です。これには経験と予測、想像力、思考力が不可欠です。私のバリューは、変化に遅れることなく適応し、Web広告をリードし結果を出し続けるAIを育てることだと思っています。
経済や社会に好影響を。求める人に正しく有益な情報を届ける
ー最後に、東晶貿易だからできる仕事、その魅力を教えてください。
事業の中心は、自社インターネットメディアの運営です。Web広告の場合は、決められた予算の中でできる施策を練るのではなく、業界トップを獲得するために必要なことは何かを考えて企画を立て、広告運用をします。極端な表現をすると使う予算に上限を設けません。利益が出る限り予算はどんどん拡大できますし、アプローチ方法にも制限もありません。ダイナミックな広告運用ができるのは、東晶貿易ならではだと思います。
そして、私たちの仕事の本質は、求めている人に正確で有益な情報を届け、経済や社会に好影響を生み出すことです。Web広告、Webマーケティングを通して、ユーザー、クライアント、会社がWin-Win-Winの関係になることを目指すビジネスに、無限の可能性と魅力を感じています。
(インタビュー日:2024年9月25日)